唇ヒリヒリ日に焼けた。

どこがハイキングレベルだってんだよっっっ
きつかった、まぢきつかった。途中で泣いちゃおうかなって思ったくらい、きつかった。



ちと、ルート選択をミスったんですね。三鷹駅からホリデー快速河口湖行きに乗って、大槻から富士急行線に乗り入れて二駅目の、禾生(「かせい」。知らなきゃ読めないでしょ)で下車。たったかた〜っと歩き始めて...そこまではよかったんです、幹事長kitutuki氏のルーティングにミスはない。
しかし。
林道に入ってしばらく、ちょうど小休止入れようかなぁって距離で沢にぶつかって、道が分岐しました。かたや、それまで歩いていたのと同じ雰囲気の林道が続きそう。もう一方は沢に沿って林の中に入っていて、その名もシロサワコース(正確じゃないけどこんな感じ)。さてどっちに行こうか、ってんで7人協議になったんですけどもね。
本日関東地方は快晴でございました。ここまで来るだけでも、既に汗だくになってます。林道ってのは切り開かれてるわけで、木陰もろくにないところに、道の小石からの照り返しが厳しい。一方沢沿いならば、せせらぎと木漏れ日の中を鼻歌交じりで...



って、思うじゃないですか。わたしゃ、シロサワコースを支持いたしましたよ。ひょっとしたら、水飲みに来てる小鳥に会えるかもしれないしさ。
他のメンバーはみんな、どっちでもいいやぁってな感じで、結局は隊長の「シロサワ一名、棄権六名」って宣言で、シロサワコースになりました。いやその宣言にはかなりヤバイものを感じたんで、その場で抗議はしましたけどね。最終的には隊長だって、「オレも涼しい方がいいもん」って、ゆったんですよ。



小鳥さんとのもしもの遭遇に備えてパーティーの先頭に立った私ですが、まもなく違和感に襲われます。なんだろう、なんでこんなに足に負担がかかるんだろう...
ひどい話です、シロサワコースとは名ばかり。沢沿いに進んでいたのはものの一分ほどでして、そのあとはものすげぇ勢いで沢なんか置いてきぼりで、どんどん胸突き八丁的な登りになっていったのです。
山の斜面をジグザグに、どわぁ滑るぞばかやろうってな勾配で、登る登る登る...そのまま一気に尾根まで、って道だったんですね。途中、「なにが沢だぁ」「どこが涼しいんだぁ」との罵声が飛び交った、と言いたいところですが、もはや心中につぶやく元気しかない我々なのでありました。私自身、どこで先頭を隊長と交替したのか、もはや記憶にございません。



全員が尾根に揃ったとき、私から謝罪の言葉が発せられたのは、言うまでもありません。合意の上とはいえ、最終決定は隊長が下したとはいえ、このコースを選択したのはやはり、私であったのですから。
謝罪に対し、私より10歳年上のクルーであるN氏から、「連休前に殺す気かぁ」とのお叱りがあったのも、まことにごもっともなことであると受け止めております。



...しかしそこはまだ、地獄の一丁目だったのです。



山の斜面というものは、登るにあたって傾斜を和らげるために、ジグザグコースを作れます。しかし我々は既に、尾根に出てしまいました。尾根というのはご承知のとおり、右を向いても左を向いても、谷です。歩くっつったら、まっすぐ一本道しかありません。そしてその一本道が頂上を目指して登っているというこの場合、和らげるもへったくれもない、高低差そのまんまの傾斜に、我々は向き合わなければならなかったのでございます。
呉のアニキおよび画伯。あの階段が、ジグザグなしで直線だと思いたまい。



今度こそ全員が、無言でマイペースに徹しました。もはや隊長のバックパックに付けられた熊除けの鐘の音は、どう耳を澄ませたって聞こえない。隊長は底なしの体力を発揮して、一定の歩幅でたゆみなく、高みを目指して行ってしまうのです。
私とかkitutukiさん(私と同い年、山行きの幹事長)なんてのは、途中で花でも咲いてればあれこれ写真撮るってことで、適宜休憩タイミングがとれます。そういう大義名分がないおっさん達は、踏み出す一歩ごとに、さらに進むべきか休むべきかの選択を迫られるわけで...これは、疲れる。
いまして思えば、「シロサワコースが地図に載っていない」って事実を、もうちょい重要視するべきだったよなぁ...
結局は、最後尾は私でした。それについては、ヤシオツツジの撮影に夢中になってた、ということにしておきたいのですがそれはともかく、物事にはいずれ終わりがきます。



ついに私の眼前に、ぐつぐつと煮えた鍋を囲む一団が出現しました。昼飯食ってます、てことは、頂上が目前なのです(それにしても、登山道の途中で車座はいかがなものかと...)。
鍋の一人が曰く、「おつかれさま〜、そこ登ったらもう、頂上だよ〜」
言われて「そこ」に顔を向けた私の目に飛び込んできたのは...



鎖を握りしめてオノレを持ち上げていくしかない、ロッククライミングの岩肌、だったのでございます。
※資料映像







あの頂上で過ごした時間を、私は忘れないでしょう。春霞でぼやけがちだったとはいえ、360度の展望の素晴らしさ。吹き渡る風の爽やかさ。噛みしめる握り飯の旨さ。登攀果たしたN氏の語るゴルフ談義を子守唄にまどろむ昼寝の心地よさ。







下りもけっこうきつかったんですけどもね(やっぱ、沢下りコースでもよかったような。でもみんな、「沢」には不信感もってましたもんでねぇ)、最終的にはお約束、全員無事にJR初狩駅に帰着とあいなったわけでございます。



写真は...今夜は勘弁してください、ストレート現像で出せるものがありません。恐るべし春霞、思った以上に画像が甘い。ちと手入れしないとどうもならんです。



それより、
今夜中にこれだけは言っておきたい、人間離れした体力を有する、隊長(ぢつは要するに、三鷹行きつけのマスター)の、一言。
「あぁ、スタミナはあるねえ、高校の頃から」
...うん。そうですね、マスター。私にもスタミナありましたよ。
高校の頃は、ね。



さぁて、筋肉痛は明日出てくれるかな、っと(笑)