なかなかユニークな。

「はいこちら、胸部レントゲンですね...肺には問題ありません、きれいなもんです。
でね、こちらね、心臓なんですけどね」
「はぁ」
「こっちに出てきてますけどね、こっちね、右なんですよね」
「はぁ」
普通は左なんですよね」
「はぁ」
「軸変異といいまして...まぁ心臓の幅そのものは胸郭の幅の1/2をちゃんと下回ってますんで、心肥大といったような問題はないんですけどもね」
「はぁ」
「まぁあの、顔つきも人それぞれですしね、これも個性ということで。あはは。」
「はぁ」





「...えぇとそれでと、こちら、バリウム飲んでいただいたヤツですね、これ、胃です」
「はぁ」
「普通はこう、縦にね、写るんですよね」
「はぁ」
「これ、寝てますよね、胃が
「はぁ」
「で、このね、出口なんですけどね、これがね、こう、こっち側に向かってぎゅぅっと...わかります?」
「はぁ」
バリウムもね、ここで引っ掛かってるんですよね、最終的にはちゃんと流れるんですけどもね」
「はぁ」
「普通ね、ここまで変形してるとなると、潰瘍の治癒痕とかなんですけどね...潰瘍、やってらっしゃらないですよね」
「はぁ」
「うん...ま、ね...十二指腸のこのあたりもね、そりゃね、胃の方が変形してますから、どうしてもそのあおりで...」
「はぁ」
「ま、ね、特に自覚症状もないなら、心配は要りません。治すったって治しようがありませんし。あはは。」
「はぁ」





「こちら、眼底写真ですね。こうね、一点から放射状に血管が出るんですけどもね、普通もうちょっとこぉ...見やすいんですが...」
「はぁ」
「なんかね、血管がね、見えにくいとこがあるんですよね...こういうのって普通ですと視神経圧迫で、その、視野が狭く...」
「はぁ」
「...狭く、は、ないんですよね。自覚症状ないんですもんね」
「はぁ」
「んじゃまぁこれも、経過を見る、と。まぁね、年に一度くらい見せていただきながらってことで、ん、いい、でしょ。ん。あはは。
「はぁ」







...心臓が普通は左だくらい、オレだって承知しとるわい
よっぽど間抜けで頼りなさげな返事してたんでしょうね。

そりゃね、さすがにちょっとびっくりしちゃいましてな。43年生きてきて、自分の体の中がこれほど変形だらけだとは、初めて知りましたぜ。


...つかこれ、ほんとにオレの体か? 知らん間に幽体離脱して、別ボディに乗り変わってるんじゃないでしょうなぁ。